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2019/02/19更新

ロング料金の設定は本当に必要なのか?顧客からの印象や意見とは?

仕事

施術の価格設定について美容室・美容院のオーナー・店長さんはどのようにしていますか?

お店の売り上げ・経営に大きく関わってくる料金設定

今回はその中でも、本当に必要か意見が分かれるロング料金について、顧客側からの意見を調査しました。

アンケートを元に、実際にロング料金についてどのように考えているのかを見ていき、料金設定の参考にしてみてください。

ロング料金を設定しているお店

まず、東京にあるロング料金を設定してしているヘアサロンがどれくらいあるのかを簡単に調べるために、国内最大級のヘアサロン・リラク&ビューティーサロン検索・予約サイトのホットペッパービューティーを使って検索してみました。

フリーワード検索に「東京」と入力し、エリアを「関東エリア全て」にして検索すると、7527件のヘアサロンが結果に出てきました。

次に、フリーワードに「東京 ロング料金なし」と入力し、他同じ条件で検索すると、4632件のヘアサロンが出てきます。

7527件のヘアサロンの内、4632件がロング料金を取っていないお店としてこだわり条件に登録されているとすると、単純に残りの2895件がロング料金を設定していると考えられます。

ホットペッパービューティーに登録されているヘアサロン内での検索となるので、日本全国的な結果ではありませんが、ロング料金を設定していないお店は約61.5%、設定しているお店は約38.5%の割合となります。

ロング料金を設定しているヘアサロンの方が全体的に少ないですが、なぜロング料金を設定するのでしょうか?

それぞれの店舗によって料金設定方法は異なりますが、

  • 施術料を全体的に低めに設定しているため
  • 施術時間にかかる料金設定をしているため
  • 薬剤などの単価の料金で設定しているため

などの理由が考えられます。

では顧客側からした場合、ロング料金についてどのように考えているのでしょうか。

顧客の声

女性(髪の長さ関係なく全般)と髪が肩よりも長い(長かったことのある)男性81人を対象にロング料金についてのアンケート調査を行いました。

アンケート時、回答いただいたそれぞれの髪の長さの割合は、だいたい均等でした。

その中でロング料金のことを知っている人は78.8%、知らない人は21.3%となり、ほとんどの人はロング料金を知っていることになります。

また、ロング料金を取られたことがあると答えた人は48.8%、取られたことがないと答えた人は51.2%と半々くらいの割合でした。

ロング料金に対して、一般の人たちはどのように考えているのでしょうか。

ロング料金を気にしない顧客とは

ロング料金を気にしたことがないと答えた人は70%、気にしたことがある人は30%と、そこまでロング料金については気にしていない人の方が多いようです。

ロング料金を気にしていない理由として「そこまで髪を伸ばしたことがない」以外に、

行きつけの美容室にいっているから
信用している美容師にお願いしているから
技術力にお金を払っているから

という美容師・美容室に対しての信頼感があることからや、

どこの美容院もロング料金を取っているから
あって当たり前だと思っている
なかったらラッキーくらいに思っている
手間や時間(作業量と技術量)、コストを考えるとかかってもしょうがない

などの、原価や施術時間を理解している人も少なくないようです。

その他には、行きつけのお店にロング料金の設定がないという理由もあれば、お店のリピートはせず初回のクーポンなどを利用して割引をしてもらうからという回答も。

ロング料金があってもなくても、気に入った美容院に巡り会えれば、ロング料金は気にしない人が多いようです。

料金とお気に入りの美容師・美容院に巡り会えていない人は、お店のリピートはせず、クーポンを利用して色々な美容院をお手軽に試す人もいるようです。

ロング料金を気にする顧客とは

今回のアンケートでロング料金を気にすると答えた30%の人たちは、どのような考えなのでしょうか。

多くあった意見では、

余分なお金を使いたくない
予算内に収めたい時に、オーバーしてしまうから
お金に余裕がない時に余分にお金を使いたくない
なるべく安くすませたいから
想定していた金額と異なったことがあるから

とロング料金を「余分なお金」と感じていたり、考えていた予算よりも多くなってしまうことを懸念しているようです。

またロング料金を取られた際に感じたことでは、仕方がないと思う人もいれば、

揃える程度だと下手すればショートの人より作業量が少ないはず
毛先だけのカットのくせに料金割り増しされて腹立ったことがある
髪が長くても切ってしまうのになぜ
損した気分
二度と行かない

などロング料金に対して理解できなかったり、お店に対してマイナスのイメージがついてしまうようです。

こういった場合顧客のリピートは見込めず、他のロング料金設定のない店舗にいってしまいます。

マイナスのイメージを持ってしまう理由としては、インターネット上でロング料金についての情報を見つけられていなかったり、知らないで来店し、突然言われて驚き理解できないまま支払うといったケースが多いようです。

ロング料金が妥当だと思う髪の長さ、施術は?

では、ロング料金はどの長さからの施術が理解できる範囲だと考えているのでしょうか。

ミディアム・セミロング・ロング・スーパーロング・ロング料金は許せない・その他でアンケートをとりました。

(上位順)
ロング 48.8%
スーパーロング 26.3%
セミロング 8.8%
ロング料金は許せない・必要ない 8.8%
ミディアム 2.5%

ロング以上の長さであれば仕方がないと理解できる人がほとんどを占めています。

そして、セミロングより短い長さでの追加料金と、ロング料金は許せない・必要ないという意見が同じ割合となりました。

ロング料金を取られても妥当だと思う施術(複数回答可)では、

(上位順)
カラー 85%
パーマ 75%
トリートメント 53.8%
シャンプー・コンディショナー 28.7%
十数センチ以上カット 18.8%
ミディアム以上の長さから、ショート/ ベリーショートにカット 16.3%
ブロー 16.3%
ロング料金は許せない 6.3%
数センチカット 5%

と薬剤を使い、かつ施術時間がかかるカラー・パーマが多く上りました。

トリートメントでも、髪が長いと分量を多く使うということで、半数以上の人に理解されているようです。

しかし、ブローや数センチカットやとなると、あまり納得がいっていない人が多いですね。

中にはロングヘアを整えるよりも、ショートにする方が技術力や手間がかかると考えている人もいました。

ロング料金の許容範囲とは?

ではロング料金が発生する場合、許容できる金額はいくらなのでしょうか。

アンケートでは、〜300円・〜500円・〜1000円・〜1500円・〜2000円・2000円〜・どの長さでも嫌だ・その他、から選択してもらいました。

(上位順)
〜1000円 38.8%
〜500円 23.8%
どの長さでもロング料金は嫌だ 10%
〜1500円 8.8%
スーパーロングなら2000円以上でも構わない 6.3%
〜300円 5%
〜2000円 3.7%
その他 3.6%

1番多かった金額では、38.8%の割合で「1000円まで」であれば、納得するとの回答でした。

2番目に23.8%の「500円まで」、3番目は10%の割合で「どの長さでもロング料金は嫌だ」の意見でした。

その他の意見では「施術や店側による」といった、効果的な薬剤を使っていたり、「店側のコスト・粗利率によって異なる」という、お店の事を考えている意見が3.6%ほどでした。

理解はしているけど、そこまでの金額はあまり出したくないのが大多数の本音でしょうか。

ロング料金についてどう考える?

ではロング料金を設定するにあたり、どのような事に気をつければいいのでしょうか。

自由回答で、ロング料金に対しての疑問や要望を聞きました。

1番多かった回答では「ロングの長さの判断がわからない」という意見。

ロング料金に対する、理由の説明や明確なアナウンス(口頭とメニュー表示)が欲しいようです。

初めていくお店の場合、インターネット上に載っている画像で雰囲気を見たり口コミを確認しますが、1番見るのはメニューの料金です。

お店に行ってから予期せぬ料金を言われ、動揺した経験があると回答した人が多数いました。

料金についての説明を加えることで、トラブルやクレームの回避にもなります。

美容院に訪れた顧客の気持ちにたち、丁寧な接客を心がけたいですね。

ロング料金を設定する?・しない?

ロング料金を設定することは、お店にとってプラスになるのでしょうか。

ロング料金を設定するメリット・デメリット

ここまでのアンケート回答を元に、ロング料金を設定するにあたり、メリット・デメリットを考えてみましょう。

メリット

施術時間に見合った報酬が取得できる
薬剤などの経費に見合った料金が取得できる

デメリット

損をした気分になる顧客もいる
長さによって理解できない顧客もいる
髪が短い人にはなんのメリットもない
顧客にわかりにくい料金設定になってしまう

メリットではお店側にはプラスになりますが、顧客に対してのメリットがありません。

反対に、デメリットは顧客側に対してばかりになってしまいます。

わかりにくい料金設定により、クレームを言う顧客もいるでしょう。

その度に美容師はストレスを感じてしまうことがあるので、従業員にとってもマイナスになるケースが考えられます。

ロング料金ではなくショート割の方がいい

薬剤代や施術時間での料金が必要な場合は、それに見合った料金設定を初めからしておくことで、多少料金設定が高くても顧客は大体の人が料金を確認した上で来店します。

アンケートの中には「寧ろロング料金に足並みを合わせたらいいと思う」という意見もあるほど。

つまり、ショートの人でも設定された料金に納得して来店していることになります。

そこにロングの人は追加で料金がかかる、とマイナスのイメージになることを伝えるより、ショートの方は割引になる、と伝えた方が顧客はお店に対してメリットを感じます。

またロングの人でも追加料金は発生しないので、デメリットを感じることはありません

「ロング料金」となると損をするイメージになってしまいますが、「ショート割」にする事によって得するイメージに変わります。

ロング料金を設定するなら

もしロング料金設定が必要という事であれば、以下のことに注意することで、リピーターを増やすことに繋がりやすくなります。

  • カラーやパーマ、縮毛矯正のみに設定する
  • 長さの基準を細かく、わかりやすく設定する
  • メニューの料金表にわかりやすく表示し、口頭でも理由と一緒に説明をする
  • 追加料金のマイナスイメージをサービスで補う

以下でもう少し詳しくみていきましょう。

カラーやパーマ、縮毛矯正のみに設定

髪の長さで施術時間が大きく変わってくる場合のみに追加料金を設定することです。

アンケート回答にもあったように、カットやシャンプー・コンディショナー、ブローなどの追加料金はマイナスのイメージになってしまいます。

設定をわかりやすく表示し、説明もする

どこからロング料金がかかるのかをわかりやすく設定し、お店のウェブサイト料金表内やメニュー表の気づきやすいところに記載することです。

イラストなどを用いて表示すると、さらに伝わりやすくなりますね。

また施術前にもロング料金が発生する顧客には、丁寧になぜ追加料金がかかるのかを説明することにより、納得してもらうことができます。

追加料金のマイナスイメージをサービスで補う

追加料金を支払っていると感じさせないような、サービスをつけるということです。

施術に時間がかかる分、顧客にも負担がかかります。

そこで追加で無料のドリンクをサービスしたり、雑誌を変えたり、軽いマッサージをするなどのちょっとした特典を加えるだけでも、顧客の満足度に繋げることができます。

また、ロングの人用にトリートメントの質を少し上げたものにするなども効果的です。

口頭で追加料金発生の説明をする際に、トリートメントの質もロングの人用にいいものにしていると一緒に説明することで、顧客の考えも変えることができます。

まとめ

今回のアンケートで、顧客側が実際にロング料金についてどういった考えをしているのかを知ることができました。

お店によってロング料金を設定している・していないがありますが、その理由が顧客目線になっているかが今後のお店繁栄のカギとなりますね。

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